個人再生は、家を手放すことなく借金を最大で10分の1にまで減らせるメリットが多い債務整理の方法です。
裁判所や申立人によって多少の違いはありますが、裁判所を介した手続きになるので、ある程度決まった流れで手続きが進められていきます。
今回は、個人再生を弁護士に相談した際の流れと、解決までにかかる期間についてご説明します。
個人再生の流れと再生計画認可までの期間
まず、個人再生の流れと期間の全体像をまとめると上記のようになります。
個人再生がひと段落するポイントが⑧の『再生計画案認可の決定』です。ここまでで25週間(約半年)程度の期間がかかることになります。
以下でそれぞれの項目のご説明をしていきます。
個人再生の申立て
個人再生は個人再生の申立書を地方裁判所に提出すれば始められます。ただ、個人再生で認可をもらうためには収入、支出、財産状況、生活の状況、債務の総額などをしっかり把握しておく必要があります。また、個人再生利用の要件もあり、手続きも複雑で自分だけで全て終わらせることはとても難しいです。
そのため、個人再生では弁護士に依頼をして代わりに手続きを行ってもらうことが一般的です。個人再生以前に引き直し計算で過去の過払い金が発覚するかもしれません。申立て前には必ず弁護士に相談しておきましょう。
個人再生委員との面接|申立てから1週間
申立てから1週間程度で、裁判所から個人再生委員が選任されます(されない場合もあります)。個人再生委員とは、個人再生で債務者の財産状況などの評価を行う人で、個人再生手続きに精通した弁護士が選任されます。
個人再生委員の選任後に債務者は個人再生委員と面接を行い、債務や財産状況などの質問がされます。弁護士に依頼をしている場合は、弁護士と一緒に面接をすることが可能となります。
個人再生手続開始|申立てから4週間
個人再生委員は、面接などの内容を意見書にまとめて提出します。裁判所は個人再生委員の意見を元に審査を行い、個人再生手続の開始が相当だと判断すれば、申立てから1ヶ月ほどで開始の決定がされます。
債権届出|申立てから10週間
個人再生手続開始決定後すぐに、裁判所から各債権者に対して債権を届け出るように通知が送られます。債権届出の提出期限は、個人再生手続開始決定から約6週間後(申立てから10週間)となります。
債権届出は債務者のもとに送られてきますので、ご自身で受け取って管理をしなくてはなりません。弁護士に依頼している場合は弁護士が代わりに行ってくれます。
債権認否一覧表の提出|申立てから10週間
債権者から送られてきたら債権届出の債権額を認めるかどうかの判断を行います。その際に提出する書類が債権認否一覧表です。
再生債権に異議がある場合は異議申述も書面にて行うこととなり(期限はだいたい申立てから13週間程度)、異議を述べられた債権者は評価申立てを行うこともできます(申立てから16週間)。
再生計画案の提出|申立てから18週間
再生債権がはっきりと分かったところで、再生計画案を作成して提出していきます。再生計画案は、今後の再建や返済計画などについて記載した書類です。
そもそも書く内容が難しいですし、少しでも不備があれば以下の認可にも影響が出てきますので、やはり弁護士に依頼していないと難しいと言えます。
提出期限はその都度裁判所から指定がありますが、基本的には申立てから18週間程度となるでしょう。
再生計画案の決議|申立てから20週間
再生計画案の提出後は、個人再生委員が裁判所に対して書面で決議を行います(給与所得者等再生は意見聴取)。
書面決議や意見聴取での内容は、その後各債権者に通知されます。各債権者は、再生計画案に対する同意・不同意の意見を裁判所に提出します。
小規模個人再生の場合、半数以上の不同意になってしまうと再生手続きが廃止とされてしまいます。このように、債権者からの同意を得られる必要もありますので、再生計画作成には経験もかなり必要になってきますね。
<再生計画認可・不認可の決定|申立てから25週間/h4>
上記のように、半数以上の債権者からの同意を得られており、裁判所が再生計画案の内容の通り再建・返済がされると判断した場合、再生計画の認可がされます。
個人再生における1つのゴールで、申立てから25週間程度(約半年)かかるとお考えください。
ここまでお伝えしたように、債権者から同意を得られて現実的に返済可能な再生計画案を作っていくことが大事になりますので、個人再生の経験が豊富な弁護士に依頼することをおすすめします。
再生計画認可・不認可決定の確定|決定から4週間
再生計画認可(不認可)の決定から約2週間で、その内容が官報公告されます。さらに2週間後には再生計画認可(不認可)の決定は確定となります。
再生計画での返済開始|確定後
再生計画認可決定の確定後には、再生計画に従って返済を行っていきます。再生計画の通りに返済を完了させることができれば、残りの債務を支払う必要がなくなります。きちんと計画通りに返済していきましょう。
ただ、再生計画での返済期間は3~5年と長めの期間になります。その間に返済ができなかった場合は再生計画が取り消されてしまうこともあり得るので要注意です。
個人再生委員が選任されない場合
ここまで個人再生委員が選任された場合の流れについてお伝えしました。ただ、裁判所や内容によっては個人再生委員が選任されない場合があります。
個人再生委員が選任されないことで手続きは短縮されますので、再生計画の認可まで3~4ヶ月くらいで終わるようになります。
また、20万円程度の個人再生委員の報酬も支払わずに済みます。
個人再生を弁護士に依頼した時の費用相場
最後に、個人再生を弁護士に依頼した場合の費用相場を簡単にお伝えします。
内容 | 相場 |
相談料 | 無料 |
着手金 | 30~50万円程度 |
報酬金 | 10万円程度 |
申立費用 | 3万円程度 |
個人再生委員報酬 | 20万円程度 |
ざっとまとめると上のような内訳になります。費用合計だけで言えば、個人再生委員が選任される場合が70万円程度で、選任されない場合は50万円程度になってきます。
もちろん、あくまでも相場であって、実際には依頼内容や弁護士事務所によって違ってきます。依頼前にはしっかり確認しておきましょう。
また、赤文字で書いた費用は弁護士に依頼しなくても発生する費用ですので、いずれにしても個人再生ではある程度の費用はかかってくると認識していた方が良さそうですね。
まとめ
今回は、個人再生の流れについてお伝えしました。個人再生は裁判所を介した手続きとなりますので、ある程度決まった流れで手続きが進められます。
個人再生委員が選任される場合は、申立てから25週間(半年)程度で一通り手続きは終了します。選任されない場合は、3~4ヶ月ほどです。
再生計画の認可をしてもらうためには、高い知識と個人再生の経験が必要になってきます。ご自身だけではかなり難しい内容ですので、弁護士に相談・依頼するようにしてください。