2020.09.11 2022.10.03

建築士(一級建築士)の借金を債務整理(任意整理・個人再生・自己破産)して返済・減額・免責するときの注意点

建築士(一級建築士)の借金を債務整理(任意整理・個人再生・自己破産)して返済・減額・免責するときの注意点

幣事務所では、建築士の方々から、債務整理手続き(任意整理・個人再生・自己破産)をされたいというご相談を受けることが多くあります。

昨今の新型コロナウイルスの影響で、民間を中心とする設備投資や発注案件の減少が相次ぎ、契約予定の業務の見合わせが多発する等して、資金繰りに困られる建築士の方がいらっしゃいます。

当然、こういった影響は、そこで働く他の建築士の収入にも大きな影響を与えてしまいます。

収入が低下すれば、生活費不足に陥ってしまい、やむなく借金をせざるを得ない状況に追い詰められてしまうこともあります。

ここでは、建築士の方々が借金をしてしまった場合、どのような解決方法があるかをご説明します。

建築士(一級建築士)の方がなぜ借金をしてしまうのか?

一般的に、建築士の給料は高額であるというイメージがあります。

しかし実際は、同じ建築士でもゼネコンや小規模な建築会社や個人経営の設計事務所等、その働く環境によって収入は大きく変わります。

収入が高くない場合は、急な出費などが相次いだ場合には家計に与える打撃が大きく、不足分を補うために、やむを得ず借金をすることがあります。

また、建築業界では接待が多くあることからも、新規業務を受注しやすくするために、積極的に接待を行い、その費用を工面するためにやむを得ず借金をすることがあります。

しかし、一部の方に見られることとして、そういった接待の場で楽しみを見つけてしまい、接待とは関係なく個人的にキャバクラやラウンジ等に通うようになり、借金をされてしまう方もいらっしゃいます。

生活費の工面や業務上必要であった借金であれば、手続き上不利になることは考えにくいですが、個人的にキャバクラやラウンジ等に通うための借金をしたということであれば、手続き上不利に働くこともあり得ます。

建築士(一級建築士)の方が任意整理をして借金(債務)の返済減額をするときの注意点

給与の差押に要注意

任意整理の場合でも、借入先から裁判を起こされて、判決を取られ、さらに勤務先を知られている場合は、給与の差押を受ける可能性があることに注意が必要です。

給与の差押を受けると、裁判所から勤務先に書面が送達されてしまいます。

任意整理手続きは、基本的には書面のやり取りも含めて、弁護士と借入先との間で手続きが完結しますので、勤務先に任意整理手続きをしていることを知られる可能性は極めて低いです。

しかし、裁判所からの書類が勤務先に送られることで、何等かの借金をしているという事実を知られる可能性はあります。

とはいえ、借入先から裁判を起こされたら放置せずに速やかに対応し、和解することでこういったことは未然に防ぐことができる可能性が高まります。

また、裁判を起こされたら、すぐに弁護士に依頼することで和解交渉のタイミングを確保し、さらに判決が出されるまでの期間を引き延ばすことも可能です。

借入先から裁判を起こされたら、まずは落ち着いて弁護士に対応を依頼されることをお勧めします。

弁護士が依頼を受けたら、裁判の対応はすべて弁護士が代わりに行うことができますので、ご安心ください。

将来的に返済を継続していくことが可能か?

任意整理手続きの最大のメリットは、和解時から完済時までに発生する利息を免除してもらい、そのうえで残った借金を3年から5年の範囲内で分割弁済していくことができることです。

近年は借入先も暴利を貪っているとはいえ、決して安泰な経営状態でもないことから、難癖をつけてはできるだけ短期間で返済させようと迫ってきたり、債務者の情報開示を求めてきたりします。

よくあるケースとして、返済を継続していくことができるかどうかの見極めのために、収入や家計の支出がどうなっているのかを聞かれることがあります。

任意整理手続きの交渉において、将来的に返済を継続していくことができるかどうかは非常に重要なポイントです。

上述したように、建築士が置かれている環境は、今後も厳しくなることが予想されるので、この点については慎重に検討する必要があります。

場合によっては、家族に借金の事実を打ち明け、経済的な支援を求めることが必要になることもあるでしょう。

よくある事例のモデルケース

よくある事例のモデルケースとしてご紹介します。

建築士として働かれているところ、新規業務受注のために取引先の接待をしなければなりませんでした。

勤務先の設計事務所からは、1次会の費用は支払ってもらうことができますが、2次会の費用は自己負担でした。

2次会までもつれ込むこともしばしばあり、その費用を工面するために、自身が所有するクレジットカードを使って支払いを続けていました。

そんなことを繰り返しているうちに、借金の金額は300万円近くまでになりました。

職場や家族には、絶対に知られずに(内緒で)解決されたいという意思が強いことを弁護士に伝えたところ、任意整理をすることになりました。

任意整理の結果、5年間の分割弁済の和解をすることができ、毎月の返済は5万円に減額することができました。

建築士(一級建築士)の方が自己破産をして借金(債務)をゼロ(免責)にするときの注意点

雇用者と被用者におけるそれぞれの違い

建築士の方が自己破産手続きをしたとしても、建築士の資格が取り消されることや、業務停止処分を受けることはありませんので、ご安心ください。

ただし、これは被用者として雇われている建築士の方の場合です。

一方で、建築士事務所を開設されている方が自己破産手続きをする場合は、事情が異なります。

建築士法第23条において、建築士事務所を開設する為には、都道府県知事の登録が必要であることが定められております。

同条において、破産手続開始決定を受けて復権を得ない者が開設者であるときには、その登録は拒否されてしまいます。

こうしたことから、登録取り消しにより業務に影響が出る可能性があります。

ただし、自己破産をしたとしても将来にわたって永続的に制限を受けるわけではありませんので、ご安心ください。

破産手続開始決定(これから自己破産の手続きを始めますという通知)が出てから、免責許可決定が確定するまでの間だけが制限を受けるだけであり、免責許可決定が確定すれば従来通り業務を行うことができます。

関連資格を保有している場合は要注意

建築士の方の中には、宅地建物取引士や土地家屋調査士等の関連資格をお持ちの方がいらっしゃいます。

上述したように、建築士の方が自己破産手続きをしたとしても、建築士の資格が取り消されることや、業務停止処分を受けることはありません。

ただし、関連資格がある場合にそちらが影響を受けてしまい、業務に影響が出ることがあります。

例えば、宅地建物取引士の資格をお持ちの場合、自己破産手続きをすることにより、登録が取り消されてしまい、宅地建物取引士証を返納しなければなりません。

宅建業法第18条において、破産者で復権を得ないものは登録を受けることができないと定められているからです。

さらに、自己破産手続きをすると、宅地建物取引士としての登録を削除する届出をしなければなりません。

また、土地家屋調査士の資格をお持ちの場合、自己破産手続きをすることにより、登録が取り消されてしまいます。

土地家屋調査士法第5条および第15条において、破産者で復権を得ないものは登録を受けることができないと定められているからです。

しかし、これらはいずれも将来にわたって永続的に制限を受けるわけではありませんので、ご安心ください。

破産手続開始決定(これから自己破産の手続きを始めますという通知)が出てから、免責許可決定が確定するまでの間だけが制限を受けるだけであり、免責許可決定が確定すれば従来通り業務を行うことができます。

よくある事例のモデルケース

よくある事例のモデルケースとしてご紹介します。

建築士として建築士事務所を経営していたところ、折からの不況のあおりで新規業務受注件数が減少傾向にありました。

資金繰りのために銀行や政府系金融機関からも借入を行っていましたが、新規業務受注件数が回復することはありませんでした。

借金の総額が1000万円を超える金額になったことに加え、既に60歳を超える年齢であったことから、建築士事務所を廃業することに決めました。

本来であれば、建築士事務所開設者が自己破産手続きをすると登録取り消しになるところですが、廃業を決められていたことから、特に問題にはなりませんでした。

最終的に、1000万円を超える借金は自己破産手続きにより借金(債務)をゼロ(免責)してもらうことができました。

建築士(一級建築士)の方が個人再生をして借金(債務)を減額するときの注意点

勤務先に知られるのか?

結論からいいますと、自己破産すると、勤務先に知られる可能性があります。

自己破産の場合、裁判所に提出する書類の中で、場合によっては勤務先に開示を求めなければならない書類として、退職金に関する証明書があります。 この書類の開示を勤務先に求めるにあたり、勤務先に自己破産の手続きをしていることを知られる可能性はゼロではありません。 では、勤務先に知られずに(内緒で)自己破産ができないのかというと、必ずしもそうとは限りません。

裁判所での運用上、退職金に関する証明書の提出が困難な場合には、退職金支給規定と計算書をもって代えることができます。

退職金支給規定は就業規則と同様に、従業員がいつでも見ることができるように備え付けておくべきものですので、こちらのコピーを提出してもらうことで対応することが可能です。

あとは、退職金の計算方法のみを口頭で人事担当者等に確認してもらえれば、退職金の計算は可能となり、退職金支給規定と併せることで、裁判所に退職金に関する証明書の代替書類として提出することができます。

この方法であれば、勤務先に自己破産の手続きをしていることを知られる可能性は低くなります。

仕事への影響はあるのか?

上述したように、自己破産をしても建築士の方が、資格が取り消されることや、業務停止処分を受けることはありませんので、ご安心ください。

しかし、宅地建物取引士や土地家屋調査士として業務を行われている場合や建築士事務所を開設されている方は、制限を受けることになります。

しかし、個人再生手続においては、そういった制限を受ける心配がありません。

仮に、宅地建物取引士や土地家屋調査士として業務を行われているような場合や建築士事務所を開設されている方は、個人再生手続きを選択されることで、業務への影響を回避することが可能です。

建築士(一級建築士)の方で借金にお困りの方は、債務整理を取り扱う大阪市・難波(なんば)・堺市の弁護士に

このページでは、建築士の方がなぜ借金をしてしまうのか、そして債務整理手続き(任意整理・個人再生・自己破産)をした場合の注意点等をご説明しました。

建築士の方で借金にお困りの方は、債務整理を多く取り扱う大阪市・難波(なんば)・堺市の弁護士法人法律事務所ロイヤーズ・ハイにご相談ください。

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