2020.08.14 2022.10.03

自己破産と資格制限

自己破産と資格制限

多額の借金を抱えてしまい、返済のため日々の生活がままならなくなってしまうと頭をよぎるのが「自己破産」という言葉です。

自己破産をすると借金はなくなってもこれまでのような生活はできなくなってしまうのでは、と不安に感じる方も少なくないでしょう。

自己破産とは人生をやり直すための救済制度であり、制度を利用したからといって人に知られるようなものではありません。

しかし、自己破産をすると職業や資格に制限がかかってしまいます。
今回は自己破産とそれに伴う資格制限についてご紹介します。

自己破産とは?

自己破産とは、一定の現金や資産を除いた財産を債権者へ提供することでこれまでの借金を免除してもらうことを言います。

破産法で定められた正規の手段で、自己破産により人生の再出発を促すことを目的としているため、借金の額や、借り入れ先も制限なくすべての借金が対象です。

自己破産のメリット・デメリット

自己破産のメリットとは?

自己破産の最大のメリットとして挙げられるのが、これまでの借金が帳消しになり、返済の督促から解放されることです。
債権者への支払いに充てるため財産は没収されますが、自己破産は人生の再出発を目的とした制度なので、生活必需品やある程度の財産は手元に残ります。
また、自己破産の手続き後に得た財産については没収されることはありません。
自己破産について、職場を解雇される、将来年金の受給ができなくなる、スマホなどの通信機器が利用できなくなるなどと思われがちですが、それらはすべて誤解です。
自己破産をしても周囲に知られるようなこともありません。

自己破産のデメリットとは?

債権者への支払いに充てるため、土地や家などの不動産や車や貴金属など20万円を超える財産、99万円を超える現金などはすべて没収されます。
また、信用情報機関にブラックリストとして登録されてしまうため、新たな借り入れが制限やクレジットカードの作成や利用ができなくなります。
自己破産はあくまで申請者本人のみに適用されるため、連帯保証人がいる場合は支払いの義務がそちらに移ってしまうので注意が必要です。
自己破産の申請手続きを行う間は特定の職業に就くことができず、資格取得にも制限がかかります。

自己破産における資格制限とは?

自己破産をすると国が発行する官報にその事実が記載されます。
信用情報機関はその官報を基にブラックリストを作成するので逐一チェックする必要がありますが、一般企業が官報を見ることはほとんどないと言えます。
そのため、自己破産をしても周囲や職場に知られることはまずなく、また、自己破産を理由に解雇することは法律上認められていません。
しかし、一部の職業や資格においては自己破産により影響を受ける場合があります。

自己破産で制限を受ける職業や資格

国に届出や許認可が必要な質屋や古物商、貸金業や旅行業など他人の財産を扱う職業や、弁護士や税理士、司法書士や公認会計士など、国家資格がなければ就けない職業は自己破産の申請手続きが開始されると就くことができません。
同じ国家資格でも医師や看護師、公務員などは制限がなく、これまでと変わらずに就業できます。
また、生命保険募集人やファイナンシャルプランナー、日本中央競馬会(JRA)に所属する調教師や騎手などは制限があります。

制限は職業ごとに設けられている

自己破産で制限を受ける職業にバラつきがあるのは、弁護士なら弁護士法、生命保険募集人なら保険業法というようにそれぞれの職業に対する法律の中で自己破産について定められているためです。
破産法には自己破産を申請した個人についての規定のみで、その人が就く業務上の扱いについて言及はありません。

職場には自ら申告すべき

自己破産をしても、資格制限の対象にならない職業に就いている場合、職場で借金をしていない限り特に申告の必要はありません。
しかし、資格制限の対象となる職業に就いている場合はそういうわけにはいきません。
自ら申告して休職や異動を申し出ましょう。
自己破産による資格制限があるような職業の場合は業務として官報のチェックを行っている場合があるので、自ら申告しなくてもいずれは職場に知られる可能性が高いです。
ですが、資格制限期間中は働くことが認められていません。
事実を隠して働き続けることは違法行為になります。
従業員が自己破産をしてもそれを理由に解雇することは法律上認められていませんが、違法行為を行った場合は話が別です。
自己破産をした時はきちんと自分から職場に申告しましょう。

資格制限は一生続くわけではない?

自己破産による資格制限は一生続くわけではありません。
資格制限とは自己破産の手続き開始とともに始まり、自己破産が許可されると同時に解除となります。
資格制限が解除されれば自己破産前と同じ状態に戻ることができ、このことを「自己破産における復権」と言います。
自己破産の手続き開始から復権まで早いと3ヵ月程度で済むこともありますが、一般的には6ヵ月程度が目安とされています。
復権には大きく分けて2つの方法があります。

当然復権とは?

当然復権とは、自己破産の手続き完了とともに自然と制限が解除されることを言い、特別な申請や手続きを必要としない復権の方法です。
資格制限期間は長くなりますが、特に何もしなくても制限は解除されます。

自己破産申立による復権

自己破産の申請をしたものの、許可が下りない場合もあります。
そうした時に、債権者が借金を免除してくれたり、借金の消滅時効を迎えたり、偶然遺産などが手に入ったことで借金がなくなるといったケースもあります。
借金がなくなったとしても裁判所はその事実を把握できません。
そのため、借金がなくなったという証拠書類を揃え、自ら裁判所に申し立てることで復権できる制度を「申立による復権」と言います。

復権してもできないこともある

復権とは自己破産による資格制限が解除されることを言いますが、自己破産をする前とまったく同じ生活に戻れるわけではありません。
資格制限は解除されるので、元通りに仕事をすることは可能ですが、自己破産した際に信用情報機関が記録した情報は復権とは関わりなく残るため、5~10年ほどは新たな借り入れやクレジットカードの作成・使用はできません。
そのため、車などの高額商品を購入する際は現金での一括払いを強いられることになります。
また、官報は誰でも見ることができるので、闇金融のような悪質な金融会社はチェックしていることがあります。
復権後、新たな借り入れができなくて困っている人に対して、「うちなら融資できますよ」などの甘い言葉で高金利の借金をさせようとするので注意が必要です。
自己破産は復権すればそれで終わり、というわけではないことをしっかり頭に入れておく必要があるでしょう。

資格制限に該当する方で借金にお困りの方は,債務整理を取り扱う大阪市・難波(なんば)・堺市の弁護士に

今回は自己破産とそれに伴う資格制限についてご紹介しました。自己破産とは人生をやり直すための救済制度であり、制度を利用したからといって人にそしられるようなものではありません。

しかし、自己破産をすると復権までに職業や資格に制限がかかってしまいますし、復権できた後にも借り入れやクレジットカードの利用ができないなど、いくつかの制限は続きます。

自己破産をしなくても任意整理や個人再生などで借金問題が解決する場合もあるので、借金でお悩みの方は、債務整理を多く取り扱う大阪市・難波(なんば)・堺市の弁護士法人法律事務所ロイヤーズ・ハイにご相談ください。

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