2020.07.24 2022.10.01

保険募集人(生命保険募集人・損害保険募集人)の借金を債務整理(任意整理・個人再生・自己破産)して返済・減額・免責するときの注意点

保険募集人(生命保険募集人・損害保険募集人)の借金を債務整理(任意整理・個人再生・自己破産)して返済・減額・免責するときの注意点

幣事務所では、外資系生命保険会社の生命保険募集人(生命保険外交員)や国内生命保険会社にお勤めの生保レディの方々からのご相談を受けることが多くあります。

また、最近では損害保険の販売代理店の損害保険募集人(損害保険外交員)の方からのご相談を受けることも増えてまいりました。

いずれの相談者の方々にも共通していることとして、主に新規顧客開拓のための営業活動費等の経費が重い負担となり、その結果多重債務に陥ってしまい、債務整理手続きのご相談に来られることが多くあります。

そこで、今回は上記のような状態に陥ってしまった場合には、どのような解決方法があるのか、そして、選択する手続きによって、どのような影響や違いがあるのかということについてご説明いたします。

保険募集人(生命保険募集人・損害保険募集人)の方がなぜ借金をしてしまうのか?

保険募集人(生命保険募集人・損害保険募集人)というと、世間では華やかな仕事であるというイメージがあります。 しかし、実際は過酷なノルマに追われ、休日も顧客から呼び出されたりするのは当たり前という、非常にハードな職業です。 また、保険募集人(生命保険募集人・損害保険募集人)によって、収入の格差が顕著に表れるのも特徴的です。 大手外資系生命保険会社で営業マンとして法人向けの保険商品を数多く契約すれば、数千万円単位の年収が得られます。 一方で、大手国内生命保険会社で生保レディとして個人向けの保険商品しか取り扱わない場合、数多くの契約を取得できたとしても、年収はそう多くは見込まれません。 いずれの場合にも共通していることとして、新規顧客開拓のための営業活動費は全額自己負担となります。 個人向けの保険商品を販売する場合であれば、交通費や手土産代程度で済むでしょう。 しかし、これらの費用も数多く重なれば、とても重い負担となってしまいます。 ところが、法人向けの保険商品を販売する場合、事情はやや異なります。 法人向けの保険商品を販売する場合、話す相手は法人の代表者になります。 法人代表者は高額所得者であることが多いため、当然にその接待交際費は高額になる傾向があります。 こういった費用は、営業マンにとって非常に大きな負担となります。 このように、保険募集人(生命保険募集人・損害保険募集人)は重い経費負担を背負っており、それが原因で借金をせざるを得ないような状況に追い込まれてしまうのです。

保険募集人(生命保険募集人・損害保険募集人)の方が任意整理をして借金(債務)の返済減額をするときの注意点

仕事への影響はあるのか?

任意整理は、代理人である弁護士と借入先との間で、話し合いにより解決を図る手続ですので、裁判所を通す必要はありません。 ですので、自身が周囲に手続きをしていることを話さない限り、周囲に知られる可能性はありません。 また、仕事に影響を与えることもありませんので、ご安心ください。 ただし、任意整理の場合でも、借入先から裁判を起こされて、判決を取られ、さらに勤務先を知られている場合は、給与の差押を受ける可能性があることに注意が必要です。 給与の差押を受けると、裁判所から勤務先に書面が送達されてしまいます。 任意整理手続きは、基本的には書面のやり取りも含めて、弁護士と借入先との間で手続きが完結しますので、勤務先に任意整理手続きをしていることを知られる可能性は極めて低いです。 しかし、裁判所からの書類が勤務先に送られることで、何等かの借金をしているという事実を知られる可能性はあります。 とはいえ、借入先から裁判を起こされたら放置せずに速やかに対応し、和解することでこういったことは未然に防ぐことができる可能性が高まります。 また、裁判を起こされたら、すぐに弁護士に依頼することで和解交渉のタイミングを確保し、さらに判決が出されるまでの期間を引き延ばすことも可能です。 借入先から裁判を起こされたら、まずは落ち着いて弁護士に対応を依頼されることをお勧めします。 弁護士が依頼を受けたら、裁判の対応はすべて弁護士が代わりに行うことができますので、ご安心ください。

将来的に返済を継続していくことが可能か?

任意整理手続きの最大のメリットは、和解時から完済時までに発生する利息を免除してもらい、そのうえで残った借金を3年から5年の範囲内で分割弁済していくことができることです。 近年は借入先も暴利を貪っているとはいえ、決して安泰な経営状態でもないことから、難癖をつけてはできるだけ短期間で返済させようと迫ってきたり、債務者の情報開示を求めてきたりします。 よくあるケースとして、返済を継続していくことができるかどうかの見極めのために、収入や家計の支出がどうなっているのかを聞かれることがあります。 任意整理手続きの交渉において、将来的に返済を継続していくことができるかどうかは非常に重要なポイントです。 上述したように、借金の原因は新規顧客開拓のための営業活動費であることが多いです。 つまり、今後も保険募集人(生命保険募集人・損害保険募集人)を続けていく場合、この問題は必ずつきまとってきますので、今後も継続的に返済をすることができるのかについては、慎重に検討する必要があります。 場合によっては、家族や親族に借金の事実を打ち明け、経済的な支援を求めることが必要になることもあるでしょう。

よくある事例のモデルケース

よくある事例のモデルケースとしてご紹介します。 大手国内生命保険会社で、生命保険募集人(生命保険外交員)として働いているところ、厳しいノルマに追われ、新規顧客開拓のために必死に営業活動に励んでいました。 勤務先から担当を任されたエリアにある企業等も積極的に訪問し、従業員との関係を構築しようとしました。 従業員と親しくなるために、毎回手土産を購入して持参していました。 交通費や手土産代の費用を工面するために、自身が所有するクレジットカードを使って支払いを続けていました。 そんなことを繰り返しているうちに、借金の金額は200万円近くまでになりました。 職場や家族には、絶対に知られずに(内緒で)解決されたいという意思が強いことを弁護士に伝えたところ、任意整理をすることになりました。 幸いなことに、これまでの営業活動が功を奏し、徐々に保険契約件数も増えてきたこともあり、今後も返済を継続していくことが可能であるという見通しも立ちました。 任意整理の結果、5年間の分割弁済の和解をすることができ、毎月の返済は3万円程度に減額することができました。

保険募集人(生命保険募集人・損害保険募集人)の方が自己破産をして借金(債務)をゼロ(免責)にするときの注意点

会社に知られたり、解雇される可能性はあるのか?

ご相談にいらっしゃる方々から、よく自己破産手続きをすると会社にバレないかが心配とのお声をいただきます。 これは保険募集人という職種に限ったことではありませんが、基本的にご自身から会社に申告をされない限りは、会社に自己破産手続きをすることを知られる可能性は低いです。 しかし、自己破産手続きにおいて、裁判所に提出する書類のひとつに退職金に関する資料がありますので、会社にその資料の開示を求めた場合には説明を求められる可能性があります。 とはいえ、開示を求めることが、直接的に自己破産手続きをすることにつながるわけではありません。 説明の仕方次第で、会社に自己破産手続きをすることが知られることを回避できると考えられます。 それでは、仮に会社に自己破産手続きをすることを知られた場合、解雇されてしまう可能性はあるのでしょうか? 結論から申し上げますと、自己破産手続きをしていることを理由に解雇される可能性は低いです。 労働基準法において、自己破産を理由に解雇にすることは不当解雇とされているからです。 しかし、就業規則で「自己破産をした場合には、解雇することができる」といった定めがされている場合には、不利な立場になってしまうことが考えられます。 ご不安な場合は、勤務先の就業規則をご確認いただき、弁護士にご相談ください。

仕事への影響はあるのか?

保険募集人(保険外交員)には、生命保険募集人(生命保険外交員)と損害保険募集人(損害保険外交員)の2種類があります。 それぞれの場合に分けて、仕事にどのような影響があるのかをご説明いたします。

生命保険募集人(生命保険外交員)の場合

生命保険募集人(生命保険外交員)が自己破産手続きをすると、破産手続開始決定(これから自己破産の手続きを始めますという通知)が出てから、免責許可決定が確定するまでは、生命保険募集人の登録を取り消される可能性があります。 その根拠となる法律が、保険業法第307条です。 同条において、生命保険募集人が復権を得ない状態では、登録を取り消すことができると定められています。 ここで注意していただきたいのは、「取り消すことができる」という文言です。 「取り消さなければならない」ではないことが重要なポイントとなります。 生命保険募集人個人には、自己破産手続きをしたからといって届出をする法律上の義務はありませんので、知られなければ問題にならないという考え方もあります。 しかし、生命保険協会や保険会社は官報をチェックしている可能性があるため、登録の取消がされなかったとしても、そこから知られて業務に影響が出る可能性はゼロではありません。

損害保険募集人(損害保険外交員)の場合

損害保険募集人(損害保険外交員)が自己破産手続きをすると、生命保険募集人(生命保険外交員)と同様に損害保険募集人の登録を取り消される可能性があります。 ここで疑問に思われると考えられるのが、保険業法第276条において、損害保険代理「店」と記載がありますので、「個人」であれば大丈夫なのではないかということです。 しかし、保険業法第2条において、損害保険代理「店」とは、損害保険会社のために保険契約の締結の代理または媒介を行う者と定められています。 これはつまり、損害保険募集人(損害保険外交員)のことをいいます。 ですので、やはり損害保険募集人(損害保険外交員)も生命保険募集人(生命保険外交員)と同様に制限を受けるという結論になります。

よくある事例のモデルケース

よくある事例のモデルケースとしてご紹介します。 大手国内生命保険会社の生保レディとして勤めていたところ、勤務当初は親族や友人や知人等に頼み込むことで、新規契約を取ることができていました。 しかし、そういった自身の周囲への営業活動もいつまでも続けることはできず、次第に契約が取れなくなり、収入が低下してしまいました。 懸命に営業活動を行いましたが、ついにはその営業活動費すら工面できないほどに収入が低下してしまいました。 そこで、やむなく複数の消費者金融から借入れを重ね、新規顧客開拓のための営業活動費や自身の生活費に充てていました。 そんな生活を続けていくなかで、借金の金額は300万円近くまで増加しました。 弁護士に相談したところ、自己破産をすることになりました。 その理由としては3つありました。 まず、まだ年齢的にも若く、異業種であったとしても転職できる可能性が十分にあったこと。 2つ目に、借金の理由が仕事のためのものであり、今後も同じ仕事を続けても生活の再建は困難である可能性が高いこと。 最後に、保険業以外の業種に転職するのであれば、自己破産手続きによる仕事への制限を気にする必要がないこと。 最終的に、自己破産手続きの申立準備期間中に無事に保険業とはまったく異なる業界に転職することができ、300万円近くあった借金は自己破産手続きにより、ゼロ(免責)にしてもらうことができました。

保険募集人(生命保険募集人・損害保険募集人)の方が個人再生をして借金(債務)を減額するときの注意点

仕事への影響はあるのか?

結論からいいますと、個人再生には自己破産のような制限はなく、保険募集人の登録を取り消されることはないため、仕事への影響はありません。 ただし、自己破産の場合と異なり、仕事への影響はありませんが、勤務先に個人再生の手続きをしていることを知られる可能性はあります。 個人再生の場合、裁判所に提出する書類の中で、場合によっては勤務先に開示を求めなければならない書類として、退職金に関する証明書があります。 この書類の開示を勤務先に求めるにあたり、勤務先に個人再生の手続きをしていることを知られる可能性はゼロではありません。 では、勤務先に知られずに(内緒で)個人再生ができないのかというと、必ずしもそうとは限りません。 裁判所での運用上、退職金に関する証明書の提出が困難な場合には、退職金支給規定と計算書をもって代えることができます。 退職金支給規定は就業規則と同様に、従業員がいつでも見ることができるように備え付けておくべきものですので、こちらのコピーを提出してもらうことで対応することが可能です。 あとは、退職金の計算方法のみを口頭で人事担当者等に確認してもらえれば、退職金の計算は可能となり、退職金支給規定と併せることで、裁判所に退職金に関する証明書の代替書類として提出することができます。 この方法であれば、勤務先に個人再生の手続きをしていることを知られる可能性は低くなります。

将来的に返済を継続していくことが可能か?

上述したように、借金の原因は新規顧客開拓のための営業活動費であることが多いです。 今後も保険募集人(生命保険募集人・損害保険募集人)を続けていく場合、この問題は必ずつきまとってきますので、今後も継続的に返済をすることができるのかについては、慎重に検討する必要があります。 特に、個人再生の場合は任意整理の場合と異なり、裁判所を通す手続きであることから厳格な審査を受けることになります。 今後も継続して安定した収入を得ることができる見込みがあることに加え、家計収支から確実に返済をすることができるだけの余剰が発生し続けなければなりません。 収入の変動が大きいと見込まれるような場合は、家族や親族に借金の事実を打ち明け、経済的な支援を求めることが必要になることもあるでしょう。

よくある事例のモデルケース

よくある事例のモデルケースとしてご紹介します。 大手外資系生命保険会社の営業マンとして勤めていたところ、販売商品は主に法人向けの保険で、顧客も法人の社長がほとんどでした。 法人向けの保険は報酬が大きく、年収は2000万円近くになることもしばしばありました。 しかし、その一方で、顧客である法人の社長とは休日に接待ゴルフに行くことも多く、平日の夜間でも接待を伴う飲食店に付き合うことも頻繁にありました。 これらの営業活動費は全額自己負担であったため、その負担は相当なものでした。 また、顧客である法人の業績次第では短期間で保険を解約されることもあり、年収が極端に低下することもしばしばありました。 そのような状態でも営業活動費は必要になるため、銀行やクレジットカードのキャッシング枠を利用して借入をしていました。 Aさんの所得証明に記載されている収入額は高額であったことから、融資される金額も高額になり、徐々に返済に困るようになりました。 気付けば借金の金額は2000万円を超えており、任意整理手続きができる可能性はほとんどありませんでした。 保険業を続けたいという意向が大変強くあったため、業務への影響を考慮して、生命保険募集人の登録が取り消されることがない個人再生手続きを選択しました。 しかし、現在の販売商品は収入の変動幅が大きいこともあり、可能な限り収入の変動幅が小さくなるように、収入は低下するものの個人向けの保険を販売することになりました。 個人再生手続きを行った結果、目立った資産もなかったこともあり、2000万円以上あった借金を300万円まで減額することができました。 また、毎月の返済額も数十万円程度もあったものが、8万円程度に減額することができたため、無事に生活を立て直すことができました。

保険募集人(生命保険募集人・損害保険募集人)の方で借金にお困りの方は、債務整理を取り扱う大阪市・難波(なんば)・堺市の弁護士に

このページでは、保険募集人(生命保険募集人・損害保険募集人)の方がなぜ借金をしてしまうのか、そして債務整理手続き(任意整理・個人再生・自己破産)をした場合の注意点等をご説明しました。 保険募集人(生命保険募集人・損害保険募集人)の方で借金にお困りの方は、債務整理を多く取り扱う大阪市・難波(なんば)・堺市の弁護士法人法律事務所ロイヤーズ・ハイにご相談ください。

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