2020.07.10 2022.10.01

会社の経営者は破産よりも再生がオススメ

会社の経営者は破産よりも再生がオススメ

会社の資金繰りが悪化してしまい、事業が立ち行かなくなってしまうケースは少なくありません。
そうなってしまった場合、リストラをしたり、役員報酬の返上をしたりといった対策を講じます。
また、金融機関に協力してもらいながらリスケジュールを行って、資金繰りの改善も図ろうとするでしょう。
それでも資金繰りに改善の兆しが見えない場合は、破産や民事再生といった方法を視野に入れなければいけません。
今回は、破産と民事再生の違いやメリット・デメリットなどについてご紹介します。

破産と民事再生の違いとは?

破産と民事再生の大きな違いは、行うための目的です。
破産は会社自体を無くしてしまうこと、民事再生は会社を存続させることが目的となっています。

・破産とは?

破産をする場合は、裁判所に破産の申立てを行い、全ての業務を停止します。
そして、破産管財人が管理しながら財産を処分し、優先的に弁済を受けられる人に抵当権(指定したものを差し押さえることができる権利)を分配します。
その後、債権者に平等に弁済されるのです。
これを配当と呼びます。
破産しなければいけない会社は、財産をすでに処分しているケースもあるため、その場合は配当がありません。
会社が保有している財産は全て処分されるので、会社自体が無くなります。

・民事再生とは?

民事再生をする場合は、基本的に業務を継続しながら再生計画案を立案します。
債権者の多数決によって再生計画案の決議を行い、採択されたら計画を実行していくのです。
そのため、業務を継続することができます。
つまり、民事再生の場合は会社を存続させることが可能です。

・任意整理する場合もある

会社の資金繰りが悪化してしまった場合、任意整理を行うケースもあります。
任意整理は裁判所を介することがない手続きで、顧問税理士や弁護士に相談することで始められます。
金融機関や取引先などの債権者と協議しながら、借金の一部を免除してもらったり、支払期限を延長してもらったりするのが任意整理です。
破産するわけではないので借金を回収できる可能性が高いため、債権者にとってメリットが大きい方法だと言えます。
しかし、任意整理は法的な強制力がないので、債権者が協力してくれなければ行うことができないというデメリットもあります。

民事再生をするメリットとデメリット

民事再生は会社を存続できるため、メリットが大きい方法だと言えます。
しかし、デメリットもあるので知っておく必要があるのです。
では、メリットとデメリットについて見ていきましょう。

・メリット

メリットには、会社を存続できる、経営陣を引き継げるといったものが挙げられます。
民事再生の場合は会社を存続するための最後の手段だと言われています。
再建するためには、リストラなどをしなければいけない場合もありますが、会社が無くなることはありません。
そのため、再生前のネームバリュー、ブランド価値を維持しながら取引ができるのです。
それだけではなく、経営陣を引き継げるというメリットもあります。
民事再生をすると監督委員がつくため、以前のような強権を振るうことが難しくなってしまいますが、経営自体は大きく変えることなく継続できるでしょう。

・デメリット

デメリットには、ブランドイメージや社会的な信頼が失われてしまう、財産が取られてしまうといったものが挙げられます。
民事再生は会社を存続させるために必要な手続きですが、ニュースなどですぐに広まってしまいます。
ネガティブなイメージが付いてしまうため、ブランドイメージや社会的な信頼が失われてしまうのは仕方ないと言えるでしょう。
さらに、財産が取られてしまうというデメリットもあります。
手続きをすると債務は弁済が猶予されますが、担保権は権利行使ができるのです。
つまり、担保にしている財産は取られてしまう可能性があることも覚えておかなければいけません。

民事再生にはこのようなメリット、デメリットがあります。
事業は継続できますが、多額の負債を背負うことになるのです。
破産をすると借金は残りませんが全てがゼロになってしまうため、経営者として生きていきたいのであれば新しい事業を1から上げなければいけません。
どちらが良いと思うかは人によって違うと思いますが、会社を存続できるというメリットはかなり大きいため、破産より良いと思う人も多いでしょう。

民事再生にはどのくらいの期間が必要なのか

民事再生は、破産処理手続きの中ではDIP型(債務者主導型)による再建型の法的倒産手続という位置づけになっています。
東京地方裁判所が提示している標準的なスケジュールだと、申立てから認可されるまでおよそ5ヶ月かかるとされています。
実際の事例でも半年以内に認可されているケースが多いため、それを目安に考えておけば良いでしょう。
できるだけ早く対応をしたいと考えているのであれば、メリットは非常に大きいと考えられます。

民事再生手続を申立てるために必要な条件

民事再生手続を申立てるためには、いくつか必要な条件があります。
最後に、どのような条件があるのかいくつかピックアップしてご紹介しましょう。

・申立て原因がある

申立て原因と言うのは、支払いができないもしくは債務超過(債務の総額が資産よりも大きくなってしまうこと)になってしまう可能性がある、無理をすれば支払えるけれどそれによって事業の継続が難しくなってしまうといった状況を指します。
債務超過になっていて支払いができないような場合はもちろんできますが、そうなるリスクがある場合でも民事再生の申立ては可能です。
破産とは違って会社を存続させるための手続きなので、早い段階で申立てができるというのは大きな特徴となっています。

・手続き費用などを用意できること

手続き費用などを用意できることも重要なポイントになります。
民事再生を行うためには、裁判所に支払う予納金や弁護士費用、再生後の運転資金などが必要です。
運転資金の用意が必要なのは、基本的に新規の融資を受けられなくなってしまうからです。
費用のハードルはかなり高いため、少しでも余力があるうちに決めるようにしましょう。

・税金や社会保険料をほとんど滞納していないこと

税金や社会保険料は滞納しないのが当たり前ですが、滞納している会社もあります。
借入金や仕入債務のような一般債務であれば、債権者が賛成することで大幅に免除になる可能性があります。
しかし、税金や社会保険料は一般優先債権と呼ばれているもので、免除がないのです。
そのため、滞納分を全額弁済し、一般債権の支払いもしなければいけなくなります。
それはかなり負担が大きくなってしまうため、税金や社会保険料を長期的に滞納している場合は、難しいと考えられるでしょう。

民事再生を行うためには、このような条件をクリアしておく必要があります。
この他にもクリアしなければいけない条件はいくつかあるため、条件に当てはまらない場合もあるでしょう。
そのような場合は、破産専門弁護士に相談することをおすすめします。
破産専門弁護士は、様々な手続きに関する知識を持っているため、それぞれの状況に合わせて適切な方法を提案してくれます。

まとめ

破産と民事再生は、一見すると違いが分かりにくいため、どちらを選んでも同じような結果になると思っている経営者は少なくないでしょう。しかし実際は、大きな違いがあるのです。

借金を全く無くして1からスタートできる気力や人脈がある場合は破産を選んでも良いでしょうが、全ての人がそれに当てはまるわけではありません。

そんな時におすすめなのが民事再生です。民事再生であれば、会社を存続することが目的なので、まったく同じようにいかないとしても事業は継続できます。

借金の返済は残ってしまいますが、事業を継続して返済できる見込がある場合は民事再生を選んだ方が良いと言えるでしょう。

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