2020.07.07 2022.10.01

任意整理を拒否する債権者はどうしたらいい?

任意整理を拒否する債権者はどうしたらいい?

任意整理では、債権者(貸金業者)との交渉によって債務額を減らしたり月々の返済額を減らしたりすることが可能です。
債務者(お金を借りた方)にとっては、毎月の返済の負担がより軽減されるため、メリットがある手続きといえます。

一方で、債権者(貸金業者)にとっては、特段メリットがあるわけではないため、一部の債権者(貸金業者)については任意整理を拒否するというケースがあります。
債務者にとっては、債権者(貸金業者)に任意整理を拒否されてしまうと、手続きを進めることができず、手続きが中断してしまうことになりかねません。

こうなると、何とかして債権者(貸金業者)に任意整理に応じてもらいたいと思うことでしょう。
そもそも、債権者(貸金業者)には任意整理を拒否することは許されているのでしょうか?
また、任意整理を拒否する債権者(貸金業者)に対してはどのような対処を行えば良いのでしょうか?
今回は任意整理と債権者(貸金業者)に関する内容をまとめてご紹介していきます。

債権者は任意整理を拒否することは認められているのか?

結論から言うと債権者は任意整理を拒否することが可能です。

そもそも、任意整理とは自己破産や個人再生のように、裁判所を通して借金を0円(免責)にしてもらったり、大幅に減額してもらうものではありません。

任意整理は、弁護士と債権者(貸金業者)との話し合いのみで行われるものであり、裁判所を通さない手続であるが故に、その話し合いに応じるか拒否するかは債権者(貸金業者)次第になります。 債権者(貸金業者)は、裁判を起こすことで貸付金を強制的に回収することができるため、任意整理が中断してしまうと、裁判を起こされてしまうリスクが発生します。

仮に、一部の債権者(貸金業者)が任意整理を拒否したとしても、その債権者(貸金業者)以外の任意整理を進めることはできますが、任意整理を拒否する債権者(貸金業者)に対する借金の金額の割合が、全体の借金に対して大きい場合、結果的に任意整理を継続することが難しくなり、やはり裁判を起こされてしまうリスクが発生します。

任意整理を拒否する債権者(貸金業者)が存在すると、全体の任意整理が立ち行かなくなるリスクを生むことになるのです。 つまり、一部の債権者(貸金業者)に任意整理を拒否されたとしても、他の債権者(貸金業者)については任意整理を進めることは可能ですが、場合によっては任意整理を進められない可能性があるということになります。

ところで、任意整理を拒否する債権者(貸金業者)はそれほど多くはありません。 任意整理を拒否する債権者(貸金業者)の一例としては、準大手の消費者金融である日本保証やフクホー、既に廃業してみなし貸金業者となっているような零細貸金業者や、小規模な貸金業者があります。

これらの債権者(貸金業者)に対する借金の金額が、全体の借金の金額に対して占める割合が大きい場合、任意整理が難しくなり、法的手続き(自己破産や個人再生)を検討する必要が出てきます。

なぜ債権者は任意整理を拒否しようとするのか?

上述したような債権者(貸金業者)は、なぜ任意整理を拒否しようとするのでしょうか? その大きな理由は、債権者(貸金業者)の資金繰りの問題が存在することです。 大手の債権者(貸金業者)は資本力もあり、資金繰りに困ることは少ないでしょう。 しかし、それが既に廃業してみなし貸金業者となっているような零細貸金業者や、小規模な貸金業者の場合、その資金繰りは非常に厳しいものです。

債権者(貸金業者)は銀行から低利でお金を借入れ、その借りたお金を高利で債務者に貸し付けて、その利率の差額で利益を得ているのです。 債権者(貸金業者)といえども、銀行への返済がありますので、任意整理に応じてしまうことで、利息収入を得られなくなると困るのです。 そこで、任意整理を拒否し、裁判を起こして強制的に回収しようとするのです。

こういった債権者(貸金業者)は、暴利を貪り、債務者から搾取できるだけ搾取しようとするわけですから、注意が必要です。

交渉を継続することで任意整理に応じてくれる可能性が高まる

上述したように、既に廃業してみなし貸金業者となっているような零細貸金業者や、小規模な貸金業者は、任意整理を拒否する場合があります。 では、こうした場合にはどのように対処すればいいのでしょうか? 任意整理とは、弁護士と債権者(貸金業者)との話し合いのみで行われるものであるため、粘り強く交渉を継続するしか方法はありません。 上述したように、債権者(貸金業者)は銀行から低利でお金を借入れ、その借りたお金を高利で債務者に貸し付けて、その利率の差額で利益を得ています。 任意整理に応じてしまうことで、完済時までに発生する利息を放棄することになり、収益が悪化します。

しかし、一方で任意整理を拒否することで、債権者(貸金業者)には貸倒れのリスクが生まれます。 そうなると、貸付金をまったく回収することができなくなってしまいます。

幣事務所では、こういった債権者(貸金業者)のリスクを指摘し、さらに債務者は任意整理に応じてもらえれば確実に返済を継続することができることのエビデンスを提示します。

こうした内容を伝えることと、粘り強く交渉を続けることで、一部の債権者(貸金業者)については、長期間の分割弁済には応じてもらうことは難しいものの、数年程度の短期間の分割弁済であれば応じてもらうことができる場合があります。

幣事務所は、諦めずに粘り強く債権者と交渉を行い、可能な限り任意整理ができるように最大限の努力をいたしますので、まずは弁護士にご相談ください。

任意整理は自分で交渉する方がよいのか,弁護士に依頼する方がよいのか

弁護士に依頼せず,自力で任意整理をすることのメリット,デメリット

任意整理は、裁判所が介入しないことや面倒な書類集めや作成が不要であることから、弁護士や司法書士に依頼せずに自身で対応されようとする方もいらっしゃいます。 では、自身で債権者(貸金業者)と交渉して任意整理をすることは可能なのでしょうか?

結論からいいますと、自身で債権者(貸金業者)と交渉しても、弁護士が交渉した場合と同条件での任意整理は拒否される可能性が高いです。

仮に、自身で債権者(貸金業者)と任意整理をすることができた場合、弁護士費用を支払う必要がないというメリットがあります。 しかし、以下のようなデメリットも存在します。

まず、最大のデメリットは、弁護士が任意整理の交渉をした場合に比べて不利な内容で合意している可能性が高いことです。

債権者(貸金業者)は暴利をむさぼり、顧客から搾取を続けることで利益を得ています。 そのような債権者(貸金業者)が、果たして顧客からの要請に従って自らの利益を簡単に放棄するようなことをするでしょうか? 実際にある事例では、過払金が発生している状況であるにもかかわらず、顧客に返済を継続させるような合意をすることがあります。 また,弁護士に依頼した場合には,将来の利息をカットしてゼロにする和解が通常ですが,ご自身で交渉した場合には,将来の利息をつけられたり,遅延損害金をつけられたり,長期の分割に応じてもらえないということがよくあります。

また、債権者(貸金業者)と交渉しようとしたものの、取り合ってもらえずに対応が遅れてしまうというデメリットがあります。

対応が遅れてしまうことで、全体の借金の金額が当初よりも大幅に増えてしまい、任意整理では対応できなくなってしまうこともあります。 また、返済に困って生活が困窮してくると、健康保険料や年金保険料や税金等を滞納してしまい、税金と借金を同時に返済できずに任意整理が難しくなることもあります。 さらに、返済に困って借金返済のためにさらに借金をするサイクルに陥ってしまうと、任意整理は困難であることが多いため、自己破産や個人再生を検討しなければならなくなることもあります。 以上のように,ご自分で任意整理をしようとしても,債権者からは拒否されるか,不利な条件での和解になることが多いことは理解しておきましょう。

任意整理を弁護士に依頼することのメリット,デメリット

他方で,弁護士に依頼をして任意整理をした場合には,弁護士費用などがかかるというデメリットがあります。 しかしながら,弁護士に依頼すると,将来の利息をカットしてゼロにしたり,長期間の分割に応じてもらえることが多いです。 そのため,多少の弁護士費用がかかったとしても,将来の利息がカットしてゼロにしてもらえれば,将来にかかる利息の方が圧倒的に高額になりますので,弁護士に依頼した方が経済的にもメリットがあるのです。 ですから、無理をして自身で任意整理をしようとはせず、まずは弁護士にご相談することをお勧めいたします。

任意整理の流れについて

最後に任意整理の流れについてご紹介していきます。

法律事務所に相談

まずは弁護士又は司法書士の事務所に相談しましょう。 どのような債権者で困っているのかを相談して、今後の任意整理のスケジュールを調整していきます。 またこの際には、任意整理のメリットや手続き費用に関しても説明を受けられます。

受任通知で督促と返済がストップする

弁護士や司法書士と契約を行ったら、弁護士や司法書士から債権者(貸金業者)に対して受任通知という書類が送られます。 この受任通知を発送することで、債権者(貸金業者)からの督促が止まり、さらに任意整理で和解となるまでの間は借金の返済がストップします。 督促や返済がストップしている間に、弁護士費用を支払ったり、生活を立て直すことが可能となります。

取引履歴の開示と利息の引き直し計算

続いて、債権者から開示された取引明細を元に、法律で定められた利息に基づいて借金の残高を再計算します。 債権者(貸金業者)から15年以上高利で借金をしていた場合には、借金の残高が減るだけではなく、過払金が発生している場合もあります。

債権者と和解交渉

弁護士・司法書士が提案した分割返済案に、債権者が合意すれば和解成立となります。 弁護士が提案する分割返済案は、完済時までに発生する将来利息はすべて減免してもらう内容になっています。 なお、和解交渉には立ち会う必要はなく、書類のやり取りも弁護士が代わりにすべて行いますので、ご安心ください。

和解成立後

和解契約書に基づいて、おおむね3年から5年の期間をかけて、借金の残額を返済していくことになります。 和解成立により、弁護士との委任契約は終了しますので、完済までは自身できちんと管理していただき、返済を継続していただくことになります。

借金にお困りの方は,債務整理を取り扱う大阪市・難波(なんば)・堺市の弁護士に

このページでは、任意整理の手続きの流れや、債権者(貸金業者)に任意整理を拒否されてしまった場合についてお伝えしてきました。 これから任意整理をされたいとお考えの方は、債務整理を多く取り扱う大阪・難波(なんば)・堺市の弁護士法人法律事務所ロイヤーズ・ハイにご相談ください。

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