2020.06.16 2022.10.03

夫婦で破産してしまう理由

夫婦で破産してしまう理由

結婚すると基本的には共同生活となり、財産を一緒に形成していきます。
しかし、様々な原因から夫婦揃って破産してしまうケースも少なくありません。
具体的にどういった事情から夫婦で破産となってしまうのでしょうか?
そこで今回は、夫婦で破産してしまう理由についてご紹介していきます。
また、民法で決められている夫婦の財産についても解説していくので、ぜひ参考にしてみてください。

「夫婦財産制」とは?

結婚して一緒に生活するとなると、財布や口座も1つにまとめて2人で管理する場合や、それぞれ財布も口座も別で管理する場合など、家庭によって様々な財産管理を行っていることでしょう。
中には「結婚したんだから財産は共有するものだ」と主張される方もいます。
しかし、実は夫婦財産制と呼ばれる法律では、婚姻前もしくは婚姻中に自分の名前で得た財産は、その人のものになるのです。
例えば夫が結婚前に相続した財産や生前贈与された土地、妻が結婚前に働いて貯めてあったお金などは、全てそれぞれの財産になります。
ただし、夫のものか妻のものか明らかではない財産は、夫婦で共有するものとなるそうです。

ここで気になるのは、もし夫婦どちらかが借金をした場合、返済の義務はあるのか?という点です。
夫婦財産制は不動産やお金だけでなく借金もそれぞれという考えであるため、基本的には一方が借金した場合、もう一方に支払う義務は発生しません。
しかし、例外として保証人が配偶者ではなく自分の名前になっているケースや、借金した理由が日常家事債務だったケースは、支払いの義務が発生してしまいます。
日常家事債務とは、家賃や水道光熱費などの公共料金、子どもの教育費、医療費、生活必需品を購入するための費用など、生活に欠かせないものを購入した際に発生する債務です。
夫婦には「互いに協力し扶助しなければならない」という同居協力義務があるため、日常家事債務は夫婦が一緒になって返済していかなくてはなりません。
このように、夫婦は「夫婦財産制」という法律に則って、財産関係が明らかになっています。

夫婦で破産してしまう理由は?

夫婦財産制について詳しく解説してきましたが、夫婦どちらかが借金をして破産してしまうのではなく、夫婦どちらも破産になってしまうのはどういった理由が挙げられるのでしょうか?
具体的なケースをいくつかご紹介していきましょう。

・仕事が長続きせず、生活に困窮して自己破産するケース

まず、夫婦揃って仕事が長続きせず、安定した収入を得られないため借金をして、自己破産に陥ってしまうケースです。
Aさん夫婦はどちらも結婚前から生活に困っている状況でした。
お互いが実家で生活し、ようやく職が見つかったため一緒の部屋を借り結婚したそうです。
しかし、ようやく就けた仕事も長続きせず、その後も仕事に就いては辞めてしまい不安定な生活を送ることになりました。
家賃を払うのもできないほどで、お互いが消費者金融からお金を借り、夫婦それぞれ100万円前後の借金を抱えている状況です。
1人の借金額で見ればそれほど大きな額ではありませんが、夫婦2人の収入合計が約10万円であり、合わせて200万円前後の借金を返すのは難しいと判断されました。
その後は夫婦揃って自己破産の手続きを取り、普通の生活を送れるようになったそうです。
このケースは夫婦2人が仕事を転々としており、どちらも不安定な収入だったことから借金に陥っています。
夫婦は助け合って生活していくものですが、どちらも困窮しているとなると夫婦での破産も選択肢の1つに入ってくるでしょう。

・連帯保証債務によって夫婦揃って自己破産となったケース

Bさん夫婦は将来のことを考え、マンションを購入するために住宅ローンを組み、奥さんが連帯保証人となったそうです。
Bさんは元々給料も高かったため、最初は滞りなく返済されていきましたが、BさんがFXにハマってしまい借金が増えてしまいました。
さらに、Bさんは転職して前の会社よりも給料が下がってしまい、住宅ローンの返済が滞るようになってしまいます。
結局自宅を任意売却にかけましたが、住宅ローンは1000万円以上も残ってしまい自己破産に至りました。
こちらのケースは、借金の半分が住宅ローンの返済、もう半分はFX取引によって発生した借金ということで、破産手続きを行ったとしても「免責不許可事由」によって破産申立が却下されてしまう可能性がありました。
免責不許可事由には株取引やFX取引、先物取引、仮想通貨取引で過大な債務を負担した場合も該当され、通常であれば返済が免除されるわけではありません。
しかし、今回のケースだとBさんが既にFXを辞めたこと、FXによって過大な債務を負った点について反省していることが認められ、裁判所の裁量により返済額が0円になったのです。
比較的珍しいケースではありますが、自己破産で返済額が免除されるかどうか分からない場合でも、諦めずに弁護士へ相談することで借金がなくなる可能性もあります。

・住宅ローンの「ペアローン」で破産してしまうケース

上記は住宅ローンの連帯保証債務によって夫婦揃って自己破産となったケースでしたが、次にご紹介するのは「ペアローン」で自己破産してしまったケースです。
Cさん夫婦は一戸建てを購入する際に、2人が共働きだったこと、個々の契約になると住宅ローン控除もそれぞれで受けられること、借入額が増額できることなどのメリットからペアローンを受けることに決めました。
しかし、ペアローンの返済中に夫が突然病気に罹ってしまい仕事を辞めざるを得ない状況になってしまいます。
妻は1人で生活費を稼ぎながらペアローンを返済しなくてはならず、しかも夫の分まで支払わなくてはいけません。
結局購入した自宅を手放し、返済に充てましたが多額のペアローンを完済することはできず、自己破産に至りました。
このように、ペアローンは2人の名義にすることで多額の住宅ローンが借りられるようになるものの、Cさん夫婦のように一方が働けない状態になってしまうと多額のローン返済が1人にのしかかってしまいます。
また、ペアローンにはこの他にも2人分の契約になることから普通の住宅ローンよりも手数料がかかってしまうといったデメリットもあります。
メリットがある反面、デメリットがあることも忘れずにきちんと考えてからペアローンを組んだ方が良いでしょう。

夫婦で自己破産するなら早めに弁護士・司法書士へ相談しよう

夫婦が破産してしまう様々な理由についてご紹介してきましたが、夫婦2人で借金し自己破産はできないのではないか?と思われる方もいるでしょう。
しかし、実際に夫婦2人揃って自己破産を申し立て、再スタートを切った方はたくさんいます。
独自で判断せず、早めに弁護士や司法書士など法律のプロに相談した方が良いでしょう。
特に住宅ローンの返済は多額であるにも関わらず、つい先延ばしにしてしまう傾向にあります。
先延ばしにしたことで悪い結果をもたらしてしまう可能性もあるので、早めに相談しましょう。

まとめ

夫婦で破産してしまうのには様々な理由がありましたが、その多くは住宅ローンが関係しています。
住宅ローンは多額で、数十年かけて支払っていくものです。
しかし、病気やケガで働けなくなったり、会社が倒産したりすることで支払えなくなってしまうこともあるでしょう。
もしも住宅ローンを借りる時は、万が一のことも打ち合わせして、慎重に返済計画を立てることが大切です。
また、万が一のことが起きてしまい実際に返済が難しくなってしまった場合は、早めに弁護士・司法書士へ相談してみましょう。

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