自己破産は借金が積み重なり、「もう自分ではどうにもできない」という状況になった時に選択する手段です。
特別贅沢な暮らしをしていなくても、医療費がかさんで借金を背負ったことから自己破産を選ぶ人もいます。
そこで今回は、他の人が自己破産した原因など、自己破産に至った事情あれこれについてご紹介します。
現在、借金があって「自分は本当に自己破産が必要なのか?」と感じている方は、ぜひ参考にしてみてください。
自己破産には原因や理由,破産申し立てに至る事情を記載した報告書の提出が必要
そもそも、自己破産をする際の手続きをご存知でしょうか?
自己破産には、申立書と一緒に破産の原因や理由,破産申し立てに至る事情等を記載した報告書の提出が必要です。
報告書とは、返済できないほどの借金を背負ってしまった背景や詳しい借金の内容、本人の職歴や現在の業務内容等を記した書面のことです。
裁判所に自己破産の申し出をする時は、「破産に至った事情」を記載して裁判官に現在の状況を報告します。
依頼すれば弁護士や司法書士も手伝ってくれますが、借金に至った原因や理由は本人しか分からないため、報告書に記載する内容は正直に弁護士や司法書士に申告する必要があります。
嘘偽りなく記載しないと、自己破産が認められないこともあるので注意しましょう。
自己破産の原因や理由、破産申し立てに至った事情
自己破産は人生において一世一代の決断であるため、「本当に必要なのか?」と迷うこともあります。
そんな時は、他の人の自己破産の理由や原因,自己破産に至った事情を知りたくなるでしょう。ここでは、自己破産に至った原因や事情についてお伝えします。
・収入が少なくなった
低収入や収入減少による自己破産の例は、数多くあります。
全体として約3割の人が、収入の低下を理由に自己破産を選択しているとされます。
自己破産と言うと、消費者金融からの借金を返済できないイメージがあるかもしれませんが、それだけではありません。
最初から収入が低かったり、不景気により給料がカットされたりと様々な要因があります。
日々の生活に苦しくなり、家賃や食費を支払うため、あちこちの金融機関から借金をしてしまうというのが典型例です。
・保証人になる
友人などの保証人や連帯保証人になり、借金を抱えてしまう場合もあります。
自分が無借金であっても友人の頼みを断れずに借金がかさみ、自己破産に陥るケースです。
保証人にも連帯保証人も主債務者に代わって返済する点では同じですが、連帯保証人の方が返済義務は重くのしかかります。
たとえば、保証人はローン会社などから請求が来た場合、「まずは主債務者(友人など)に請求してください」
と言えたり、
「まずは主債務者(友人など)の財産を差し押さえてください」と言えますが、連帯保証人はそのようなことが言えません。
また、保証人が複数いる時であれば、保証人なら保証人の頭数で割った金額のみを返済すれば済みます。
しかし、連帯保証人は保証人が何人いようと全額の返済が必要です。
安易に保証人になってしまい、苦しい返済に追われる人もいます。
・ギャンブル
ギャンブルで自己破産する人は、あまり多くありません。
それよりも生活が困窮して借金をし、返済の目途が立たずに自己破産を選択する人が目立ちます。
しかし、中にはパチンコや競馬などのギャンブルが止められず、膨大な借金を抱えてしまう人がいるのも事実です。
一般的にギャンブルや浪費による自己破産は認められないとされますが、裁判官の判断により認められるケースもあるため、詳しくは専門家に相談してみましょう。
年代別の自己破産の背景
借金の原因は、年代によって傾向があります。
20代と50代とでは悩みが違うように、お金の使い道や収入が不足する背景も異なります。
・若年層
20代から30代の若年層では、カード破産が目立ちます。
社会人になって収入が増加し、クレジットカードを持ったことを機に起こる自己破産です。
学生の頃は、手持ちの現金で飲み代や洋服代などを支払っていたとしても、カードを持つと次第にカード払いを多用するようになります。
節度ある使い方をしていれば問題ありませんが、毎月収入以上に買い物してしまうと借金が積み重なっていきます。
・中年層
40代や50代の場合、住宅ローンや教育費などの支払いが厳しくなり、自己破産する傾向があります。
家族を養い、親の面倒を見てと何かとお金のかかる年代だけに、金銭的な悩みは尽きません。
会社の給料が全然上がらなかったり、リストラに遭ったりと不測の事態が発生する人もいます。
また、仕事や友人との付き合いから会議費や交際費がかさみ、多額の借金を背負ってしまう人もいるようです。
中年層になると戸建てを所有している人も増えますが、自己破産をすると退去を命じられるため慎重な判断が必要です。
・シニア層
60代以上の人の場合、収入の低下が自己破産へとつながっています。
定年退職を迎え、職がなくなったために食費や光熱費といった生活費、カード払いに対応できなくなる例です。
また、退職金が思ったよりも支給されず、住宅ローンが完済出来ないといったケースもあります。
子どもいる場合には、奨学金の保証人義務が発生する可能性もあります。
連帯保証人ともなれば子どもが借金を返済できない際は、代わりに全額を支払わなければなりません。
収入が減少した定年退職後にも、お金のトラブルは発生します。
これもいいの?自己破産できるケース
自己破産を申請するには、「借金を返済できない状態にある」などいくつか条件があります。
自己破産はイメージよりも広い範囲で免責が許可されるので、ここでは具体的な事例を見ていきましょう。
・生活保護
生活保護を受けている人も、自己破産は可能です。
年金受給者も同様で、どちらも「借金が返済できない状態」として認められます。
ただし、生活保護のお金を借金返済に充ててしまうと、保護が中止となる可能性があるので注意しましょう。
・奨学金
学校から奨学金を借りて、返済困難な状況に陥った場合も自己破産できます。
奨学金では保証人が求められるため、本人が自己破産した場合には、一般的に保護者に返済義務が発生することになるでしょう。
金銭的に余裕のある家庭であれば、自己破産という選択も一つの手です。
親に借金返済の余裕がない場合には、親子で自己破産しないといけなくなるので、慎重に検討しましょう。
・ケガで働けない状態
長期間ケガで動けなかったり、入院したりして収入がなくなった場合も、自己破産できます。
借金の原因が、生活費でも医療費の問題でも申込みは可能です。
・異性に貢いでつくった借金
異性にプレゼントなどを貢いでつくった借金は、自己破産できるケースとできないケースがあります。
ギャンブルもそうですが、浪費による自己破産は多額になると認められない可能性が高くなります。
借金を背負った人に、経済再生のチャンスを与えるかどうかは裁判官の判断次第です。
自己破産が与える仕事への影響と制限
自己破産の申立をするにあたり、基本的には勤務先での業務に影響を与えることはありません。
場合によっては、勤務先に知られることもなく手続きを進めることができることもあります。
ただし、仕事への影響が出る代表的な職業として、生命保険募集人や警備員があります。
ここで誤解がないように説明をさせていただきますと、永続的にこれらの業務ができなくなるわけではなく、破産の手続きが開始してから免責許可決定が確定するまでの期間です。
この期間ですが、一般的には4~6ヶ月くらいであることが多いです。
もちろん、免責許可決定が確定すれば、これまで通り業務を行うことができます。
ところで、よく破産することが勤務先に知られてしまうと、解雇されるのではないかと心配される方がいらっしゃいます。
結論から申し上げますと、そのような心配は不要です。
破産手続きをしたことを理由に、解雇することは無効であり、裁判で争うことも可能です。
しかし、残念ながら、勤務先から異動を命じられたり、会社内に居辛くなって自ら退職されるという可能性はあります。
自己破産は「同時廃止」が認められるとメリットが大きい
自己破産には「少額管財」と「同時廃止」の2種類の手続き方法があります。
どちらになるかは資産や借金の状況によりますが、同時廃止は債務者にとってメリットが大きいと言われています。
「少額管財」は、財産調査が必要であり、財産を調査する人に支払うなど費用も高くつきます。
一方で「同時廃止」は財産調査が要らず、費用も比較的安上がりです。
自己破産の申立てから免責までの期間も短いため、借金も早く整理できます。
「少額管財」と「同時廃止」とでは、費用も時間も変わるため、債務者にとっては大切なポイントです。
自己破産に至った事情は、年齢や抱えている問題によって異なります。
20代であればカードローン、40代であれば教育費や住宅ローンの返済に行き詰ってしまうことが背景例です。
60代以降になると定年退職により収入が減少するだけでなく、子どもの奨学金問題も発生する可能性があります。
自己破産は、生活保護受給者や長期入院患者も申し込めるため、借金の返済に困った際は、弁護士を頼りながら検討してみましょう。
借金にお困りの方は,債務整理を取り扱う大阪市・難波(なんば)・堺市の弁護士に
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