2020.05.19 2022.10.01

任意整理から自己破産への方針移行

任意整理から自己破産への方針移行

債務整理には、司法書士が債権者側と話し合い、将来の利息分をカットして長期分割払いや一括返済の代わりに債務の減額を受け入れてもらう「任意整理」という手続きがあります。
債務整理の中でも比較的行いやすく、これによって返済が少しでも楽になることから、債務者にとって大きなメリットと言えるでしょう。
ただし、任意整理を行ったところで完全に借金がなくなるわけではありません。
では、任意整理を行ってから自己破産に移行することは可能なのでしょうか?
そこで今回は、任意整理から自己破産へ移行できるか、移行できるのであればどのように手続きを進めていけば良いのかをご紹介していきます。

任意整理(債務整理)の特徴を今一度整理しよう

まずは債務整理の中でも比較的行いやすい任意整理の特徴についてまとめてみました。
特徴を今一度把握し、今自分がどのような状況にいるのかを再認識してみてください。

任意整理とは冒頭でも少し解説したように、お金を借りているところと依頼した司法書士が話し合って債務を減額してもらうために行う手続きです。
残っている借金が多すぎて完済が難しい場合に有効な手段で、なおかつ会社が倒産したり、生活環境が変わったりした際には、再度任意整理で債権者と交渉して減額してもらうことはできます。
もちろん、あまりにも任意整理を行いすぎると債権者側も和解に応じてくれない場合がありますが、本当に困った時は司法書士に依頼してみると良いでしょう。

任意整理はその名前の通り、あくまでも任意で交渉していきます。
裁判所は通さずに直接債権者と交渉を行うため、手続きが楽で準備するものも少ないです。
また、複数の債権者へ返済しないといけない場合、全ての債権者に対して任意整理を行う必要はなく、一部の債権者に限って整理してしまうこともできます。

ただし、任意整理には良い面だけがあるわけではありません。
例えば個人の信用情報に「任意整理を行った」と記録され、ブラックリストに登録されてしまいます。
ブラックリストに登録されると約5年間はクレジットカードが作れなかったり、金融機関からお金が借りられなかったりするため注意が必要です。
また、近年は和解の条件を厳しめに設定し、あまり任意整理の効果が生まれないケースも増えてきています。

任意整理から自己破産へ移行することは可能?

では、任意整理を行った後でも返済が困難になってしまった時、自己破産へ移行することは可能なのでしょうか?
結論から言えば、任意整理から自己破産へ移行することはできます。
そもそも債務整理の中でも任意整理はあくまでも債権者と債務者の間で交わされた和解契約であり、裁判所は関わっていません。
そのため、自己破産へと自由に移行できるのです。
しかも移行するとなった時、これまで交渉していた債権者から同意を得なくても自己破産することができます。
交渉中だからと諦めたり、債権者側からとやかく言われたりする心配もないのです。

免責許可が下りないケースとは?

ただし、任意整理から自己破産へ移行した場合、免責許可が得られない場合もあります。
免責とは、破産宣告を受けた場合の手続きで、裁判所から「支払い能力がない」と認めた時に債務者が抱える借金がなくなります。
借金そのものがなくなるため、返済する必要がなくなるのです。
この免責を裁判所に許可してもらわないと自己破産は成立せず、借金はなくなりません。
免責許可が下りないケースは以下の通りです。

・債権者を害する目的で自己破産を行う場合

元々債権者側に恨みを持っていて、自己破産を行うことで債権者の資産を減少させる場合、免責許可は下りません。
また、資産を隠す行為もこの理由に当てはまり、免責許可が下りないケースがあります。
例えば、自己破産するにも関わらず解約返戻金が高額な保険に加入していた場合が挙げられます。

・不当な債務負担や換金行為があった場合

ヤミ金は一般的な消費者金融よりも高い金利で返済を求められてしまいます。
実は高利の借金をしてしまうと裁判所から不当と判断され、免責許可が下りない場合もあるのです。
また、不当な換金行為というのはクレジットカードを使って商品を購入し、その後商品を売却して現金を手にする行為を指します。
一見不当と感じられないかと思いますが、ここで問題となっているのがクレジットカードを利用したという点です。
クレジットカードを使って支払うということは、商品を購入した代金を立て替えてもらっていることと同じです。
それなのに自己破産が決定してしまうと、カード会社は立て替えた代金の支払いも帳消しにされてしまいます。
さらに商品を売却したことで現金を手にしているため、免責不許可になってしまうのです。

・返済に過度な偏りがあった場合

債権者が複数いる場合、基本的にはそれぞれの債権者に対して平等に返済していく必要があります。
例えば、A社・B社・親族のCさんにお金を借りていた場合、A社・B社・Cさんにそれぞれ1万円ずつ返済していけば、平等な返済と言えるでしょう。
しかし、親族だからとCさんを優先してA社とB社は返済しなかったにも関わらず、Cさんに3万円も返済していたとなると、不当な偏頗(へんぱ)行為として免責不許可になります。

・債務整理しているのに浪費やギャンブルを行っていた場合

任意整理後はしっかりと返済計画を立てて和解契約に基づき返済が進められていきます。
必要最小限の生活を送っているが、それでも返済が困難になってきた場合に自己破産が適用されるのです。
しかし、債務整理を行ったのに生活には必要ない浪費をしていたり、パチンコや競馬などのギャンブルや株・FXなどの取引を行っていたりすると、免責不許可となって自己破産が行えません。
一般的に自己破産へ移行できない理由としてよく見られるのが、このケースです。

・7年以内に再度自己破産を行う場合

任意整理は債権者と和解できれば何度も行うことができました。
しかし、自己破産は7年という期間が設けられており、自己破産をしてから7年間は免責許可が下りないようになっています。
7年という期間が過ぎれば自己破産することは可能です。

自己破産は最終手段であることを忘れない

任意整理から自己破産へ移行することは簡単です。
任意整理に比べて裁判所を訪れたり、手続きを済ませたりする必要があるものの、それほど大変な作業ではありません。
しかし、だからと言って手軽に自己破産すべきではありません。
自己破産をすると免責決定を受けるまで「破産者」という扱いになり、弁護士や警備員、保険の営業マンなどの仕事が制限されてしまう可能性があります。
また、自分が所有する持ち家などの資産も全て換価処分の対象になってしまいます。
持ち家などがある状態で自己破産すると、「管財事件」の手続きとなって裁判所に最低でも20万円ほどを納めなくてはなりません。
自己破産はあくまでも最終手段であることを認識し、覚悟した上で手続きを進めていきましょう。

今回は、任意整理から自己破産へ移行することは可能かご紹介してきました。
任意整理から自己破産への移行は可能ですが、場合によっては免責が許可されない場合もあります。
まずは自分が免責不許可に当てはまるかどうか確認しておきましょう。
また、自己破産はあくまで債務整理を行ったのにも関わらず、どうしても返済がうまくいかず、どうしようもできなくなった時に手続きを行うものです。
債務整理から自己破産へ移行する際には、「自己破産する」という覚悟を持って手続きを進めるようにしましょう。

借金にお困りの方は,債務整理を取り扱う大阪市・難波(なんば)・堺市の弁護士に

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