2019.11.25 2022.10.03

親に名義を換えておけば財産は没収されませんか?詐欺罪にあたる?

親に名義を換えておけば財産は没収されませんか?詐欺罪にあたる?

自己破産をすると、自宅や車などの財産は処分されるという話を聞いたことがあると思います。
そこで、財産名義を親などの他人名義に変更すれば処分を逃れられると考える方がいるかもしれません。
結論言えば、財産を隠す目的の名義変更が発覚した場合、高い確率で破産手続きでの免責そのものが認められないこととなります。さらには、『詐欺破産罪』という犯罪行為にも該当し、場合によっては逮捕・刑罰を受ける可能性だって出てきます。
財産没収を逃れた名義変更にはリスクしかありません。
今回は、財産隠しのために名義変更を行うリスクとどうしても財産を残して自己破産(債務整理)をする時の対処法についてご説明します。

財産没収を避けるために名義変更をするリスク

冒頭でもご説明したように、財産を没収されないために名義変更を行うことにはリスクしかありません。

免責不許可になる可能性が高い

自己破産は、手続き開始後に裁判所から免責許可の決定が確定して初めて借金の支払い義務免除となります。しかし、財産を隠す目的で名義変更をすれば、その行為が免責不許可事由に該当します(破産法第252条第1項)。
借金免除を目的として自己破産をしていることでしょうが、名義変更をしたせいで免責許可が貰えなければ本末転倒ですね。財産も残しつつ借金全額免除になれるようなウマい話は基本的には無いのです…。

詐欺破産罪にも該当し得る

さらに言えば、破産手続きにおいて財産隠しをする行為は『詐欺破産罪』という犯罪行為にもなり得ます(破産法第265条第1項)。
詐欺破産罪では【10年以下の懲役/1,000万円以下の罰金】と非常に重い罰則が設けられており、さらに事情を知っていて協力した相手も一緒に罰則を受ける可能性があります。
免責許可が貰えないだけではなく、さらには刑事罰を受け、高額な罰金や懲役刑を受ける可能性すらあり得るのです。
このように、財産を隠す目的で名義変更を行うことにはリスクしかありません。決して実行しないようにしましょう。

自己破産の管財事件では破産管財人が選任されるので発覚しやすい

「発覚しなければ大丈夫なのでは…?」
この期に及んでそのようなことを考えている方がいるかもしれませんが、財産がある場合の自己破産では、破産管財人が選任され高い確率で発覚してしまうでしょう。
破産管財人は、債務者の財産調査を行う人物で、裁判所から選任される実力がある人物です(基本的に弁護士)。仮に目先の財産隠しのために名義変更を行ったとしても、すぐに発覚してしまうでしょう。
また、破産手続開始後は破産管財人と何度も面談するようになります。その都度嘘を貫き通すには難易度が高すぎますし、破産管財人に嘘を付いたという行為そのものも免責不許可事由に該当します。
つまり、名義変更を隠し通すことはほぼ不可能ですし、発覚すれば相当なリスクが待ち受けていますので、決して不当に名義変更を行わないことです。

どうしても財産を残したい場合の方法

それでもどうしても財産を残したいからこちらの記事をご覧だと思います。どうしても自宅や車などの財産を残したい場合の方法をご紹介します。

自己破産以外の債務整理を行う

自己破産だと財産を処分しなければなりませんが、他の債務整理であれば自宅などの財産を残せる場合があります。
特におすすめが、『住宅ローン特則』を利用した個人再生です。この方法を使えば、住宅ローン以外の借金を原則的に1/5まで減額することが可能となります。自己破産のように全額免除とはなりませんが、かなり大きな減額です。
「どうしても自己破産しかない」と考えていた方でも、他の債務整理で工夫して何とか財産を残しつつ返済できるケースもあります。
債務者の方の状況にもよりますので、まずは弁護士に相談して具体的なアドバイスを貰うようにしましょう。

名義変更ではなく買い取ってもらう

名義変更ではなく、買い取ってもらってその後貸借契約で借りる方法を取れば、引き続きその家や車などを利用すること可能となります。
ただし、買い取ってもらった時の金銭も自己破産時に分配される財産となりますので、基本的には手元に残りません。
さらに、親族間の売買では、融資を行ってくれる銀行が少ないため、一括購入をしてもらう必要性が高いです。
そこまでの協力を行ってくれる親族の方であれば、自己破産をせざるを得ない状況に陥る前に何かしらの援助をしてくれるとは思いますが…。

リースバックを行う

また、リースバックという方法で自宅や車などを利用し続けることも可能となります。リースバックでは、財産を一度リース会社や投資家に買い取ってもらいますが、こちらもその後に貸借契約で借りて利用を続けることとなります。
買い取る側ももともと購入資金がある会社や投資家なので、現実的な方法でもあります。
自分の財産ではなくなるものの、利用し続けられるならそれで良いという方は、リース会社を一度探してみてください。

まとめ

財産隠しを目的とした名義変更は、自己破産の免責不許可事由に該当し、そもそも自己破産が成功しない可能性が高いです。
さらには、詐欺破産罪の犯罪行為にも該当し、逮捕や刑罰を受ける可能性も出てきます。決して不当な名義変更は行わないようにして下さい。
どうしても財産を残しておきたい方は、自己破産以外の債務整理を検討したり、リースバックなどのサービス利用を検討してみてください。
高額な財産が関係して、法律や不動産などの専門知識も必要になります。ぜひ一度弁護士などの専門家に相談されることをおすすめします。

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