2019.11.21 2022.10.03

給与の差押えなんか、実際にはされませんよね?

給与の差押えなんか、実際にはされませんよね?

支払いや返済の滞納が続いていると、『給与差押え』されるという話を聞いたこともあるかと思います。ただ、実際には「そこまでやってくるのか」と、思っている方も多いでしょう。
しかし、あまりにも支払う意思がない債務者に対して、強硬手段の1つとして給与差押えが行われるケースもあります。
今回は、給与差押えが起こるケースと給与差押えを回避する方法についてご説明します。

給与差押えが起こる前兆

給与差押えは突然行われます。まずは、給与差押えの前兆や手順についてご説明します。

給与差押えは突然される

お伝えの通り、給与差押えは突然行われてしまいます。もし給与差押えの予告がされていたら、債務者が退職したり所得を隠したりと、差押えから逃れる隙を与えてしまうからです。
後述しますが、給与差押えされることで収入は減りますし、会社にも発覚することとなります。給与差押えは現実的に行われている債権回収の方法なのです。

給与差押えの前兆

給与差押えが突然とは言え、何の前触れもなく行われることは無いでしょう。債権者からしてみても、差押え(強制執行)は最終手段のような位置付けなので、よっぽど返済が滞っている場合で無い限り実行もされにくいと考えられます。
1度2度の支払い催促であれば、差押えの可能性も低いのですが、「法的手段を取ります」というような厳しい文面の催告書や督促状が届いている場合は特に注意が必要です。書類の名前も『最終催告書』や『差押予告書』のように、重大性を知らせるような書類が届けられていることが多いです。
このような事態になる前の、支払い催促にしっかり応じていくことが大事になります。

裁判所からの特別送達が届けば前段階

債権者から裁判や支払督促が申し立てられると、裁判所から特別送達が送られます。そうなれば、差押えの前段階にまで来ていると言って過言ではありません。
送達に応じれば、返済や異議申立てによる解決ができますが、債務者が無視することによって『仮執行宣言付支払督促』が確定されます。
そうなることで、債権者はいつでも給与差押えが可能となるのです。

債権者が行う給与差押えの手順

給与差押えは上図のような手順で行われます。上でもお伝えしたように、裁判所から特別送達が送られてきて、それに2週間応じないことで、『仮執行宣言付支払督促』が確定となります。
その後、差押命令正本が債務者と勤め先に送られ、いつでも給与差押えの実行が可能となるのです。
ちなみに、上の流れは消費者金融などの法人(個人)が行う手順です。未払いが税金や社会保険料などの公的支払いの場合、上記の裁判所への手順はなく、督促状の発行日から10日以降はいつでも差押えが可能な状態となります。

給与差押えがされた場合のリスク

このように、給与差押えが実行される可能性は十分に考えられます。特に、最終催告などで法的手段を取ることを知らされている方や、裁判所から特別送達が届いている方は注意が必要です。
こちらでは、実際に給与差押えがされた場合のリスクについてまとめてみます。

収入が減る

当然のことながら、給与を差押えされることで収入が減ります。ただし、全額差押えされるわけではなく、給与から法定控除を引いた額から以下の金額で大きい方が差押えられます。

  • ・1/4
  • ・33万円を超える部分

例えば、控除を引いた後の給与40万円だった場合、1/4の10万円が差押えられることになるのです。全額ではないものの、これほどの金額を突然差押えられてしまえば、他の支払いなどにも影響してくることは十分に考えられるでしょう。

会社に金銭問題が発覚する

給与差押えを実行するにあたって、勤め先会社にも『差押命令正本』が送られることになります。これにより、少なくとも会社上層部と経理担当者には差押えの事実を知られてしまうでしょう。
差押えされることを理由に従業員を解雇にすることはできませんが、差押えまでされるということは、よっぽどの金銭問題を抱えていると判断されるので、社内での信頼を大きく損なわせてしまうでしょう。
場合によっては社内の噂になってしまうことも考えられます…。結果的にその会社で働き続けにくくなってしまいます。

差押えは完済まで続く

一度給与を差押えられてしまうと、債務が完済するまで続けられます。人によっては年単位続く方もいるでしょう。
元はと言えば、きちんと返済をしていなかった債務者に非があるのですが、差押えが長引けば長引くほど負担も大きいですよね。

給与差押えを回避する方法

このように、リスクも多くありますので、まずは差押えされる前にしっかり対処することが大事になります。こちらでは、給与差押えを回避する方法をお伝えします。

支払い催促/督促の段階でしっかり対応する

債務者からしてみても、差押えは最終手段のようなものです。たとえ滞納していても、初期段階でしっかり対応していれば差押えまでされないことも多いです。
例えば、口座に残高が残っていなく滞納になって催促された場合、支払えないからと言って無視してはいけません。最低でも債権者に連絡は入れるようにしましょう。
これによって、支払う意思はあると判断してもらい、差押えの可能性は低くなります。債権者によっては、支払い期限の猶予などに応じてくれる場合もあります。まずは真摯に対応すべきでしょう。

債務整理を行う

どうしても返済の見込みがないという場合は、債務整理も検討しましょう。債務整理によって借金減額できれば、返済も可能になり差押えを回避できるかもしれません。
債務整理の方法にもいくつかあり、どの方法が適しているのかは状況にもよりますので、まずは弁護士に相談して適切なアドバイスをもらうことをおすすめします。方法によっては、借金免責や8割減などの結果になることもあります。

異議申立てを行う

裁判所から特別送達が届いている段階の方で、請求内容に納得がいかない方は、異議申立てを行うことで、差押えを回避することができます。この場合、民事訴訟に移行することとなります。
ただし、債権者も根拠を持って請求しているでしょうから、異議申立てを行うからには根拠も必要ですし、訴訟になることで期間も要します。専門知識も必要になってくるので、弁護士依頼の必要性も高くなるでしょう。
それでも納得できないという方は異議申立ても検討してみてください。

まとめ

給与差押えが実際にされないなんてことはありません。
滞納が続き、債権者が法的手段を取ってきたら給与差押えが実行される可能性も十分に考えられます。
まずは滞納せずにしっかり支払うことが一番ですが、どうしても返済できない場合にもしっかり債権者に連絡をして真摯に対応するようにしましょう。少しでも支払う意思が見られれば、差押えまでしてこない債権者も多いです。
一方、どうしても返済不能な状態に陥っているのであれば、債務整理も検討してみてください。方法によっては借金を大幅に減額することができるかもしれません。借金問題は一度弁護士に相談することをおすすめします。

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