2019.10.17 2022.10.03

期限の利益喪失とは?

期限の利益喪失とは?

債務者(借りる人)がお金を借りる時、『期限の利益』があることで、債権者(貸す人)から一括請求をされずに済みます。

しかし、期限の利益を喪失することで、一括請求をされてしまうおそれが出てきます。
そもそも『期限の利益』といった言葉は聞きなれない言葉なので、こちらの記事をご覧の方は、すでに期限の利益喪失の通知が来ているという方も少なくないかと思います。

今回は、期限の利益喪失で起こり得ることや期限の利益喪失通知が届いた時の対処法についてご説明します。

期限の利益とは?期限の利益があることでできること

まずは『期限の利益』があることがどう影響していて、期限の利益を喪失することで起こり得ることについてご説明します。

期限の利益があることで借金の分割返済やローンが組める

期限の利益とは、借入時に決めた期限が訪れるまで債務者(借りる人)が債権者(貸す人)から返済請求をされないための権利のことです。

この期限の利益があることによって、債務者は高額な借り入れも分割で返済していくことができますし、ローンを組んで車や自宅などの高額な物を購入することもできるのです。

30万円を借りて、「翌月末から毎月末日までに5万円ずつ返済していく」というような借り入れができることも期限の利益があるからなのです。

期限の利益がなければ極端な話、借りた翌日に「やっぱり30万円すぐに返済してください」と言われる事態も起こり得るのです。

このように、債務者の返済期限が保障されている権利。これが期限の利益となります。

期限の利益喪失とは?喪失することでどうなる?

では、期限の利益喪失とはどういうことでしょうか?
「喪失=失う」ことですから、ある程度イメージはできるでしょうが、先ほど例に出したように、期限の利益がなかった場合の即日返済を求められる事態が起こってきます。

さらには、期限を決めて分割で返済できる権利も失うことになりますので、一括請求をされてもおかしくない状況になってしまうのです。

特に高額な借金やローン返済が残っている方であれば、一括請求をされても返済できないということが起こるでしょう。

そうなれば、今までの金利に合わせて遅延損害金も発生していき、さらに返済額が増えていくような事態も起こり得ます。

期限の利益喪失が起こってしまうケース

このように、期限の利益を喪失してしまうと、一括請求をされてしまうことにもなりかねません。どのような場合に期限の利益喪失になってしまうのでしょうか?

民法137条に該当した場合
(期限の利益の喪失)

第137条 次に掲げる場合には、債務者は、期限の利益を主張することができない。

  • 一 債務者が破産手続開始の決定を受けたとき。
  • 二 債務者が担保を滅失させ、損傷させ、又は減少させたとき。
  • 三 債務者が担保を供する義務を負う場合において、これを供しないとき。

引用: 民法137条

まず、期限の利益喪失については民法137条に記載があり、以下の場合に期限の利益喪失になってしまいます。

自己破産の開始
債務者が自己破産の手続きを行い、開始決定を受けた時に期限の利益喪失になります。

担保の減少や減少など
担保を設けた借り入れ等で、債務者が担保を勝手に売却したり担保の価値を下げるような行為をした場合には期限の利益喪失になってしまいます。

契約条項を守らなかった場合

民法137条では、限られたケースでしか期限の利益の喪失が起こらないようになっていますが、実際には借り入れ等を行う時の契約で、債権者と期限の利益喪失についての契約をしていることがほとんどです。

そこでの契約内容に反した場合には期限の利益喪失になってしまいます。

返済の遅れ
債権者が一番心配していることが、きちんと返済されないことでしょう。契約書にも、「支払い期限に遅れることで期限の利益喪失なる」という内容が書かれていることが基本で、期限の利益喪失の理由として一番多いであろうものが返済の遅れです。

ただ、実際には1度の支払い遅れで期限の利益を喪失することはほとんどなく、何度かは猶予を持たせてくれる債権者が多いです。

例えば、住宅ローンの場合、6回の滞納で期限の利益喪失になることが多いようです。

それでも支払いが遅れることで、債権者にも迷惑をかけることになりますし、期限の利益を喪失しないとも言い切れません。

少しでも支払い困難だと分かれば、少しでも早くに債権者に連絡をするなどの対応をしましょう。

契約書の内容や財務状況に虚偽があった場合
お金の貸し借りやローン契約は信用取引ですから、債務者から嘘の情報を伝えられているようなことが発覚すれば、ただちに期限の利益を喪失して一括請求されるようなことも起こり得るでしょう。

期限の利益喪失した(しそうな)時の対象法

最後に、期限の利益喪失をした(しそうな)時の対処法をお伝えします。

まず、期限の利益喪失の内容に該当したからといって、いきなり期限の利益を喪失するのではなく、事前に通知がされて最終的に喪失する流れになることが多いです。

こちらの記事をご覧の方も、『期限の利益喪失通知書』や『予告書』が送られてきて始めて期限の利益について調べているという方が多いかと思います。

通知の段階で早めに対応すれば、引き続き期限の利益を喪失せずに返済を求められる続けられることもありますので、素早く誠実な対応をすることを心がけましょう。

期限内にきちんと返済額を払う

期限の利益喪失通知書では、「いつまでに○○円を支払わないと期限の利益を喪失します」という内容になっていることもあります。

その場合は、すぐに指定された金額を支払うようにしましょう。そうすることで、期限の利益を喪失することはありません。

債権者に相談や交渉を行う

しかし、すでに「期限の利益喪失の手続きに入っている」と、通知されるだけのケースもありますし、指定日までに指定の金額を支払えないという状況の方もいるでしょう。

そのような状況を放置してしまうと、そのまま期限の利益喪失になってしまい、上記のように一括請求や遅延損害金の発生といったことが起こってしまいます。

期限の利益喪失にならないためにも、債権者に連絡を入れて、猶予期間を設けてもらうなどの相談・交渉をしましょう。

ただ、これまでに返済の遅れや信用を損なうような内容があったからこそ期限の利益喪失をする事態になっているのだと思います。

債務者自らが交渉をしても話を聞き入れてくれないケースも十分に考えられます。そこで、弁護士に相談して適切なアドバイスを受けることも検討しましょう。

無料相談を受けてくれる弁護士が多いので、相談だけで解決策をもらえたり、費用はかかりますが、場合によっては任意整理などで返済期限の延長や利息カットなどの交渉を行ってくれるケースがあります。

まとめ

債務者は期限の利益があることで、分割での返済やローン契約ができます。しかし、支払いが滞ったり、債権者からの信用を損なう内容があることで期限の利益を喪失してしまうことがあります。

期限の利益喪失になることで、一括請求をされてしまうことも起こり得ます。

すでに通知等で期限の利益喪失を知らされてしまっている方は、少しでも早く相談や交渉を行って対処していきましょう。

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